嘘
「か、河原君。
緊張をほぐす方法知ってるかな?」
「知らないよ。」
「僕が調べた限りの方法は試したんだけど・・全く効果が無くて・・。」
「ちょっと待て。俺も調べてやる。」
スマホを取り出し、画面を見ながら調べるフリをする。
“今調べた”っていうことにするから、許してくださいね死神さん。
「重本、いいのが見つかったぞ。」
「お、教えて!」
「いいか。思いっきり緊張するんだ。
下手にほぐそうとしなくていい。
とにかく今の状態で、もっと緊張しろ。
緊張してお腹が痛い。
緊張して気持ち悪くなってきた。
どうしよう、やばい。
それぐらい緊張するんだ。
そうしたらさ、次第に自分の体が“頑張れ”って応援してくれるんだ。
何言ってるか分からないと思うけど、
自分の体が自分を励ましてくれるんだ。
いざ本番になったら、必ず良い方向に向かうよ。
だから今はありのままのお前でいいんだよ。」
「・・・・・分かった・・・・ありがとう河原君。
もう難しく考えるのはやめるよ!」
「ト、トイレ・・。」