嘘
時刻は5時になろうとしていた。
重本はいびきをかきながら、ぐっすりと寝ている。
ようやくチカが眠たそうに目をこすりながら起き上がる。
「重本君。帰ってきてたんだね。」
「おお。無事にカップル成立した。」
「・・・ヨカッタネ・・・・」
再びチカはベッドに倒れ込んだ。
「おい!」
「・・・・モウチョット ネタイ・・・」
もう移動しないと本当にまずい。
だけどすごい眠たそうだし叩き起こすのもな・・・。
・・・こうなったら・・俺が連れていくか。
「・・・エ、チョっと待って!ハヤタ!」
「大丈夫、寝てろよ。
部屋まで連れてってやるから。」
「いや、私重いから!恥ずかしいよ・・・。」
チカをお姫様抱っこしてドアの手前まで来たところで、どうやら目が覚めたようだ。
「本当に大丈夫か?
あれだったら部屋まで送っていくぞ。」
「大丈夫。ありがとね。」
寝ぼけて違う部屋に行ってしまわないか心配だったけど、
部屋を出たチカはしっかりした足取りでエレベーターの方へ歩いて行った。