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ミサキに断りを入れ、学校が終わったら駅へ直行した。


30分ほど待ったところで、後藤が歩いてこちらに来るのを確認する。


俺を見て一瞬立ち止まったけど、今日は逃がさないぞ。






「河原。もう放っておいてくれよ。」


「放っておいてほしかったら本当の事言え。」


「元はと言えば俺が悪かったんだよ・・。」


「どういうこと?」


「俺が調子に乗ったから・・自業自得だよ・・。」


「後藤、これで終わりだと思うか?」


「え・・」


「何が原因かは知らないけど、お前は集団でボコられたんだろ?

些細なことでまたやられる可能性だってあるんだぞ。

今、お前とお前をリンチした奴らの間には上下関係が出来ちゃってるんだから。

例えば、“金が足りない、そうだ後藤カツアゲしよう”って感じにな。」




「・・・・・・」


「もしそうなったら、また俺のせいにするつもり?」


「・・・・・・」


「教えろよ。誰にやられた?
俺が話つけに言ってやるよ。」







後藤がズボンの後ろのポケットに手を伸ばし、財布を取りだした。


「おい、何だよこれは?」


後藤が1万円札を俺に渡してくる。



「口止め料だよ!もう俺に構うなよ!!」


「こんなの受け取れるわけないだろ!」



1万円を俺に押しつける後藤の手を払う。



「こんな事になるなら・・・河原のせいにするんじゃなかった・・。

何であの時俺を助けたんだよ!?」


「なんだそれ。本気で言ってるの?」




後藤が強引に俺を押しのけ、駅の中に入ろうとする。


「もう俺は逆らえないんだよ・・。
・・・外堀埋められてるんだ・・・。」


「・・・・」

これ以上引き留めるとまた騒ぎになりそうだな。



そのまま階段を降りていく後藤を見送った。



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