「実はさ、山岸の事を好きになっちゃったんだ。」



重本の様子を伺う。

・・・明らかに目つきが変わったな・・




「・・・何だって?」


「どうする?
後藤の時みたいに仲間呼んでもいいぞ。

ただしな・・・何人連れてきても俺に勝てると思うなよ?」


「・・・・・」


「・・・・・」


「・・・・・・あー。後藤喋っちゃったんだ。」


「誓って言うが、後藤は誰にも喋ってない。

なんなら先生達の間では後藤を殴ったのは俺だってことになってる。」


「え・・そうなの?」


「まあその辺は説明するのめんどくさいから省略するけど、俺は巻き込まれたってわけ。」


「・・それは悪いことしたね。
じゃあ何で河原君は僕だって分かったの?」


「お前は“外堀から埋めていく”タイプなんだろ?」


「・・・フフフ。なるほど。
うん。そうだね、今回もそうした。」



「チカから聞いたんだけど、山岸が後藤に言い寄られてたんだって?」


「2月のバレンタインにさ、ケイコが男子のみんなにチョコ配ったの覚えてる?

あのバカは何を勘違いしたのか、

ケイコにアプリID聞いてきたり、春休みに執拗にデートに誘ってきたりしたらしいんだ。

挙げ句の果てには
“重本なんかより俺の方が絶対良い”ってさ。」



「なるほどな。
彼氏としては黙ってられないよな。」


「みんないつまでもノロマでグズの僕だと思ってるんだよね。

ケイコと付き合うようになってから、

“今より強くなりたい、変わりたい”ってジムに通って一生懸命ダイエットして・・・。

僕はもう球技大会で足を引っ張っていた僕じゃないよ。」



「山岸は今回の事知ってるのか?」


「いや知らないよ。
こういうのは裏で秘密裏にやっておくほうがカッコいいでしょ。」





「・・それで・・・・・
後藤を集団でリンチして気は晴れたか?」


「今後ケイコに近づきさえしなければ・・・ね。」


「お前、変わったな。」


「ありがとう。」


「・・・褒めてないよ。

一緒にボコったのってひょっとして元2―6の奴ら?」


「そうだよ。みんなケイコの事好きだからね。
もちろん友達という意味で。

・・・あのバカ以外は。」





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