嘘
大学受験を来年に控え、ミサキはここ最近本を読むことなくずっと勉強をしている。
昔は俺が勉強しながらミサキが本を読んでいるという構図だったけど、
今では丸っきり逆になってしまったな。
「あれ?ミサキ、その本・・。」
ふと、大きく開いていたミサキの鞄の中が視界に入った。
「あ、これ?」
ミサキがそこから一冊の本を取り出して見せてくれた。
「へ~珍しいね。
ミステリー読んでるんだ。」
ミサキは海外の小難しそうな本やシンプルな恋愛小説を読むことが多い。
今まであまり見なかったジャンルの本を持っていたのでつい気になってしまった。
「これね・・同じクラスの小西君が貸してくれたんだ。」
「文系のクラスになると本好きな子も多いんだね。」
「うん。私今までミステリーあまり読んでこなかったけど、
“初心者でも読みやすい”って小西君がお勧めしてくれたんだ。」
引っ込み思案で人見知りもあるミサキだけど、クラスで友達が増えているみたいで嬉しいな。
特に、異性の友達ができるなんて良いことだ。
「良かったね。」
「う、うん・・。」