嘘
「まずいな・・」
自転車置き場まで歩いて行くと前方に先程図書室で一緒だった松尾さんがいた。
俺が出て行ってすぐにあの子も帰ろうとしたんだな。
・・山下先生に捕まった分、タイミングが合ってしまった。
「あ・・・。」
自転車に跨がりペダルをこぎ出そうとしていた松尾さんに見つかってしまう。
「ああっと・・・ちょっとトイレに行ってた。」
「河原君は・・」
「ちょっと待った。
家は末丸公園の近く・・って言えば分かるかな。
以上。何?」
「あ、あの・・・私も家そっちのほう・・・。」
よりにもよって同じ方向なのか・・。
仕方ない。
この流れで「じゃあねバイバイ」とはいかないだろうし。
「じゃあ途中まで一緒に帰ろうよ。」
「えぇぇ!」
「・・・びっくりした・・。
松尾さんそんな大きな声出るんだね・・。」
「ご、ごめん。
あの・・河原君が・・迷惑じゃなければ・・。」
「いいよ、行こ。」