嘘
「ハルイチさ、逆足意識しすぎじゃない?」
「え?」
「今、2本とも利き足で決めたけど、左足の動きが気になるな。」
ハルイチは昔からとてつもなく強力な右足を持つ一方、
逆足となる左ではとてつもなくしょぼいシュートばかり連発していた。
「高校入ってからずっと左足使うシュート練習に時間割いてるんだよ。」
「練習のしすぎで無意識に左で打とうとしてるのかもな。
それが邪魔して、結果的にトラップからシュートまで、いつもより遅くなってるよ。」
「そ、そうなの!?」
「ほらもう1回。
次は左足のことは忘れて右で蹴るって強く意識して!」
少し回転をかけ、あえてトラップしずらいボールを送った。
「!」
「ほら良い感じじゃん。」
「も、もう1回!もう1回!」
本人も良い感覚だったんだろうな。明らかに表情が変わった。