嘘
電話を切ってすぐ、自転車に乗ったチカが公園に現れた。
・・・そういえば私服姿を見たのは初めてだな。
オシャレとか俺は全く分からないけど、いつもの制服姿と違って少し大人びて見えた。
「ごめんね急に!」
「学校も無いのに、わざわざ電車乗ってこっちまで来たのか?」
「ち、違うよ。たまたまこっちに用事があっただけだよ。」
チカは持っていた紙袋から四角い箱のような物を取りだした。
「はいっ、バレンタインチョコ。
ハヤタにあげるよ。」
・・・・・・・・あ!
「今日は14日か!」
「何?いま気付いたの!?」
「いや、もう学校が無いと、曜日とか日付の感覚が・・。」
バレンタインか。
チカには毎年サッカー部員用の試作品を味見させられてたけど、
ちゃんと貰うのは初めてだな。
「ありがとう。」
「うん。美味しくなかったらごめんね・・。」
「美味しくないわけ無いさ。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・ね、ねぇハヤタ・・。」
「うん?」
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」