嘘
『久しぶりだな河原ハヤタ。』
「はい。」
相変わらず見た目が怖いけど、もう3度目となると慣れてきたかも。
「死神さん、いよいよ明日で終わりですよ。」
『そうだな。』
「・・・辛かったです。この3年間。」
『あの時車に轢かれて死んだほうがマシだったか?』
「いえ。そういう訳じゃないけど・・。」
『“あの世”では他の死神達や閻魔のおやっさんが大騒ぎをしている。
お前が今日まで生き延びると思った者はいなかったからな。』
「死神さんも、そう思っていましたか?」
『ああ。思っていた。』
表情なんてものはないかもしれないけど、
死神さんが少し笑った気がした。
『褒めてやろう。よく頑張ったな。』
「ありがとうございます。
・・・・死神さんぐらいしか褒めてくれる人がいませんからね。」
『そうだろうな。お前を解放した後は、私や、私と交わした約束の事を誰かに話しても構わないんだぞ。』
「いえ。誰かに話すつもりはありません。
信じてもらえないでしょうし、それに・・死神さんを言い訳に使うのは・・違う気がする・・。
色んな嘘をついて、色んな人達を傷つけてここまで来たけど、それは全て俺の責任です。」
『どうやらこの3年でずいぶんと成長したようだな。』
「ありがとうございます。」