嘘
死神さんの話を聞きながら、俺は自然と涙を流していた。
「・・・死神さん・・・ありがとうございます。
助けてくれて・・ありがとうございます・・。」
『礼を言うのはまだ早い。
明日1日あることを忘れるな。』
「はい。」
『河原ハヤタよ。1つ聞くがこの3年、
何が一番辛かった?
サッカーを捨てたことか。
松尾ミサキとのことか。
高原ハルイチとのことか。
それとも孤独な高校生活全てだったか?』
「・・・・・どれも辛かったです。
でも・・・・・・・・」
『どうした?』
「好きな子に・・・“好き”って言えないことが・・一番辛いです。」
『そうか。・・・余計なことを聞いた。
最後にもう1度言っておくが、3月2日を迎えた時点でお前を解放する。
それまで決して気を緩めるな。』
「はい。」
『また明日の23時59分に来る。』
死神さんはゆっくりと空に向かって飛んでいく。
「死神さん!ありがとう!」
見えなくなるまで、ずっと空に手を振り続けた。