ーーーーーー



「母ちゃん。行ってくるよ。」


洗面所の鏡の前で髪型を確認している母ちゃんのもとへ向かった。


「式は9時からだったね?

久しぶりにこんな格好したけど、まだ着られて良かったよ。

ここの所またお腹出てきてたから心配だったけどねぇ。」


いつもヨレヨレの古着を着ている母ちゃんも今日だけは正装をしている。



家を出る前に、どうしても母ちゃんに言っておきたいことがあった。



「母ちゃん。」


「早く行かないと遅刻するよ。」


「3年間、弁当作ってくれてありがとう。」


「なに言ってるんだい。
当たり前じゃ無いか。」



母ちゃんは恥ずかしそうにしながら鏡越しに俺を見た。



「じゃあ行ってきます。」


「いってらっしゃい。」


< 367 / 379 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop