嘘
ふぅ~。
とにかくこれで静かに勉強できるな。
「ん?」
自分が座っていた席に戻ろうとしたときに後ろを見ると、松尾さんが胸を押さえて俯いていた。
具合でも悪くなったのか・・・行ってみよう。
「大丈夫?
具合悪いの?」
「・・・・・・」
一瞬びくっとしたあと、恐る恐るという感じでこっちを見る。
「・・・怖かった・・」
「ん?ああさっきのか。
大したことないでしょ。」
「・・河原君が殴られたら・・どうしようって・・・」
「ああっと、中学の時、部活の仲間とたまに殴り合いの言い争いもしてたし別に平気だよ。」
「・・・・・」
これは俺も今日の所は帰った方がいいな。
多分俺がいることでずっと松尾さんを怖がらせてしまう。
「俺今日はもう帰るね。」
「あ・・河原君・・久しぶりに喋ったね。」
「うーん。そうだね。」
松尾さんはそれ以上何も言わなかったので、そのまま図書室をあとにした。