嘘
チカに連れられ、体育館の裏、桜の木の下にやって来た。
春になればここに綺麗な桜が咲く。
だけど、毎年のことだからその光景が当たり前に感じていた。
この桜ともお別れか・・・。
そう考えると、寂しさが増した。
「・・・卒業しちゃったね。」
「そうだな。」
「明日、東京に行くんだ。
一人暮らしする部屋も無事に見つかって、
予定よりちょっと早いけど・・
もう向こうで生活しようと思ってる。」
「そうか。チカなら大丈夫。頑張れよ。」
俺の前に立つチカ。
いつも元気いっぱいで、
何か言うとすぐ殴ってきて、
飛びっきりの笑顔で俺を勇気づけてくれて・・。
・・・・今日は・・・また・・一段と可愛いな・・・・
「お前、泣きすぎだよ。」
「・・・今日は・・逃げないで・・お願い・・。」
「・・・・・」
「ハヤタ・・・・ずっと好きだったよ。」
「・・・・・・」
「私の高校3年間は・・サッカーと・・サッカー部のみんなと・・友達と・・
色んな事がいっぱいあったけど・・
私の中にはいつもハヤタがいたよ。」
「・・・・・・・」
「・・・ハヤタとこのまま・・友達のまま終わりたくない・・です。
だから・・・・」
「・・・・・・」
「・・いきなり遠距離になっちゃうけど・・・・私じゃ・・ダメ・・かな?」