駅では大会終わりや部活終わりと思われる学生達とたくさんすれ違った。


やっぱり夏は部活だな。


無事に電車に乗り、2人掛けの座席に座る。



「あ、あのね、今読んでる本があるんだけど。」


ここまで最低限の会話しかしなかったけど、席に座ると同時に松尾さんが話し掛けてきた。


「それで・・その物語に出てくる主人公が夜の海に行くシーンがあるんだけど、

そこが凄く素敵なシーンだったんだ。」


「そうなんだ。
その本はどういう物語なの?」


「え・・・それはその・・主人公の女の子が高校生活を送る話。」


「ふーん。」


「ご、ごめん・・興味・・無いよね?」


「・・・ある。」


「最近ずっとそういうお話ばっかり読んでるんだ。」





女の子が高校生活を送る話って、なんだか凄く普通の話のような気がするんだけど・・・。

そんな物語がいっぱいあるのか・・。


俺は国語の教科書に出てくるような物語しか知らないからな。


一応松尾さんには前に“本が好き”って嘘をついたことがあるから墓穴を掘らないように気をつけよう。


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