嘘
「松尾さんが読んでるその本に出てくる子は、夜の海に行って何するの?」
「・・・花火・・。」
「1人で花火やるのか。
ちょっと面白いなそれ。」
「・・・・・・」
松尾さんが俯いてしまった。
あれ?何か余計な事言ったか。
「じゃあさ、途中コンビニで花火買っていこうよ。」
俯いていたのに、今まで見たことの無い素早さで俺の顔を見上げる。
「いいの?」
「何が?」
「花火一緒にしてくれるの?」
「別に大丈夫だよ。」
・・しまった!!!!
とっさに左胸を押さえる。
【花火一緒にしてくれるの?】
と聞かれた。
俺は別にしても良かったけど、その場合は「したくない」と嘘を答えなければいけない。
・・・・・
「あれ?」
「どうかしたの?」
「いや何でも無い。」