嘘
「はい号令~。」
担任の山下先生が教室に入ってきて朝のHRが始まる。
「・・・ということなので当番の人はよろしくお願いします。
最後に、来月の球技大会なんだけど今年の1年の種目は女子がバレーボール、男子はサッカーに決まったから。
怪我だけしないようにな。
クラスで練習したかったら朝練の時間使って練習していいぞ。
それぞれの顧問の先生には俺から話しておく。」
・・・・なんだと?・・・
「朝のHRは以上です。」
山下先生が教室を出ていき、教室中がまたザワザワする。
「どうする?練習する?」
「坂本さんバレー部だったよね!教えてよ~。」
「俺達、サッカー部入ってる奴誰もいないけど、運動部に入ってるやつはたくさんいるからな。」
「そうだぜ、陸上部の力見せてやるよ。」
「おい、足引っ張るなよ重本。」
「う、うん。がんばるよ。」
「うぇーい!」
無意識に夏目の席を見た。
一瞬目が合ったような気がしたけど・・・逸らされた。
球技大会か・・。
確かに年間スケジュールには入っていたけどまさか種目がサッカーだとはな。
今日家に帰ったら、もう一度ボイスレコーダーを聞き直そう。
【サッカー部には入らない】
という嘘は何度もついたけど、
【サッカーをやらない】
という嘘は今までについていないはずだ。
じゃないとこの学校でサッカーをした瞬間アウトだ。
どっちみち、目立たないようにするけど・・・。