嘘
さすがサッカー部員は戻りが早いな。
俺の前に2人、横から1人がチェックに来る。
・・・ハルイチが戻ってくると厄介だから時間はかけられない!
横から来た1人をフェイント入れてかわすと、前にいる2人に向かう。
「来るぞ!」
「俺が行く。カバー任せたぞ。」
・・・よし、見えた!!
ドリブルするラインが見えた瞬間、俺の足はそれをなぞるように駆け出す。
「何?!」
「嘘だろ・・」
あっという間に2人を抜き去ると、一気にペナルティエリアに進入する。
俺の目の前にはゴールキーパーただ1人。
「ハヤタ!!」
感じてるよハルイチ。
お前が後ろから来ている気配は。
「河原決めてくれ!!!」
「決めろー!!!」
味方の声と共にスライディングする音が聞こえる。
ハルイチがシュートブロックに来たな。
「!?と、飛んだ!!」
「あいつすげぇ・・。」
ジャンプ一番でそれをかわす。
「キーパー出ろ!ボール離れたぞ!」
ハルイチが声を上げる。
「ボールが無いんだよ!!」
「はぁ!?・・・あ。」
ようやくハルイチも気付いたようだな。
ボールはお前がスライディングした瞬間、
既に少し後ろ、オフサイドぎりぎりの所にパスを出してたんだよ。