嘘
「ぎりぎり間に合いそうだね。」
約1時間電車に揺られていたが、夏目と話をしていたらあっという間に感じた。
最寄り駅に着くと、再び夏目が俺の右腕に自分の左腕を絡ませてくる。
「今更逃げないでよ。」
「・・・・」
スタジアムが遠くのほうに小さく見えた。
小学生の時に来た記憶が蘇り、あの時のワクワクと高揚感が全身を包むからなのか。
ここで逃げ出したら、本当に大切な何かを失う気がするからなのか。
不思議と・・・覚悟が決まった気がする。
・・・サッカースタジアムで死ぬのなら、それはそれでいいかもな・・・