嘘
「うわ~人やばいね。」
「今駅行っても電車パンパンだろうからちょっと時間経ってから行こうか。」
スタジアムの外を少し歩くと、ベンチがあったからそこに腰掛ける。
「あれは絶対オフサイドだったよね!?」
「いや~多分違うんじゃない。」
「もうこのまま引き分けで終わってたらモヤモヤしたままだったけど、最後はスカッとした!」
「そうだな。」
“ピリリリリリ ピリリリリリ”
夏目のスマホから着信音が鳴った。
「あ、ちょっと待ってね。」
「・・もしもし。
うん。まだスタジアムだよ。
ホント?分かった。
・・あとどれぐらい?
・・・うん分かった。」
電話を切る。
「たまたまお父さんが仕事の用事でこっちの方に来てるから迎えに来てくれるって。」
「もう来るのか?」
「あと20分ぐらいって。」
「俺はいいからな。
電車で帰るから。」
「お父さんだからちょっと気まずいしね~。
ごめんね。」
「大丈夫。」
あと20分もすれば駅の人混みも少しは解消されるだろう。