「夏目は何でサッカー好きになったの?」


「私5個上のお兄ちゃんがいるんだけど、小さい頃からずっとサッカーやってたんだ。

だから自然に私も好きになってた。」


「なるほどね。」


「お兄ちゃんの周りの友達もみんないい人ばっかりだったから、

サッカー好きな人に悪い人はいないんだなぁって思って。

だからずっとマネージャー続けてるんだ。」



「夏目は良いマネージャーだってハルイチが言ってたぞ。」


「ホント!?嬉しい。」





・・聞かれる前に・・俺も言っておこう。






「俺さ、父親が海外に単身赴任してるんだ。
ずっと帰ってきてないんだけど。

もう何年もイタリアで仕事してる。

それで小学生の時、イタリア代表のユニフォームを送ってきてくれたんだ。

ユニフォームの後ろに書いてある名前が何て書いてあるかなんて当時は分からなかったけど、

10番っていう背番号がすごく印象的で。

それでイタリア代表の10番の人のことを調べてくうちに、気付いたらサッカーそのものにハマってたんだ。」






こんな話、ハルイチぐらいにしか話したことなかったのにな。


単身赴任中とはいえ、端から見たら母子家庭って思われても仕方ないからあまり人には言えなかった。





「今の話は誰にも言うなよ。」


「分かってるって!一匹狼さん。」


「お前、ちょっとバカにしただろ!」



その後は久しぶりにうちの高校のサッカー部がどうだっていう話を夏目がしてくれて、

気付いたら30分も経っていた。



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