嘘
「・・もしもし。着いた?どこにいる?
・・うん。そっち行くね。はーい。」
「お父さん着いた?」
「うん。ちょうど反対側にいるみたいだからそこまで行くね。」
「じゃあ俺もそろそろ駅行くわ。」
「気をつけてね。」
夏目はスタジアムに戻る形で、今まで歩いてきた方向に歩き出した。
・・・・そういえばまだちゃんと言ってなかったな。
だんだん遠くなる後ろ姿に向かって声を上げる。
「夏目!!」
既に結構な距離ができていたが、大きな声を出せば聞こえるようだ。
夏目がこっちを振り返る。
「今日は楽しかった!!
誘ってくれてありがとう!!」
「・・・・・チカでいいよ!!」
「え・・・」
「私もハヤタって呼ぶから!!
私も楽しかったよ!!
一緒に来てくれてありがとう!!」
お互い大きく手を振り、夏目はまた向こう側へ歩き出した。
もしハルイチがこの場にいたら
「な~~にニヤついてるんだよ。」
って茶化されるな・・・。
俺も駅へと向かう。