死の狭間で生きていくということ。
奏音といる時間はあっという間に過ぎていった。
今まで出会ってきた人とはまた違う、
特別な時間。
いつの間にか奏音と同じ日、同じ時間に来るようになっていた。
奏音と話せる毎週毎週が楽しみになり、
ますます時間が過ぎるのが早く感じるようになった。
そして、ついに二人とも「性同一性障害」という診断が降り、
念願だったホルモン治療を開始した。
だるくなることが増えたり、時々めまいがしたりと副作用がつらく感じることがあったけれども、
「正しい性別に戻れる」という思いが私自身を励ます力になっていた。
奏音の存在もまた、原動力になっていた。