[完]俺が君を忘れない
素直になれなくて
私が怒鳴ってしまって、一週間が過ぎた。
あれからバッタリ来なくなった。
……当たり前か
「はぁ……」
「最近ため息多いわね」
「お母さん…!」
ノックもなしにいつの間にか病室内にいた
ほんとに心臓に悪いからやめて欲しいわ。
「蒼哉くん?」
「……」
「ふふっ、来夢…?」
静かに微笑んで、私のことを見つめた。
その瞳はかなり真剣で、背筋が伸びてしまうくらい。
「…余計なことは考えずに、今のある感情を素直に出しなさい?」
「でも…私はっ……」
「後悔しても遅いときだってあるのよ?……ごめんね、丈夫に産んであげられなくて」
お母さんは涙を流した。
きっと、お父さんのことを思い出して言ってるんだろう
「…お母さん、私、お母さんが悪いなんて思ってないよ?」
「来夢……」
「でもね?……」
私が記憶をなくして、誰かを好きだということも忘れてしまうのが怖いの。
「来夢…誰かの負担になるなら、その人の想いがそれだけだったってことよ」
真っ先に思い浮かんだのが、蒼哉の顔だった。
「今、来夢の思い描いた人物。彼の想いはそんな物じゃあないでしょ?」