[完]俺が君を忘れない
なんでそんなこと言えるの、って言いたかった。
でも、妙に説得力があって、本当なんじゃないかって思ってしまう。
「私は蒼哉が好きだよ。でも、…やっぱり、蒼哉にはちゃんとした未来を歩いてほしい」
どんなに言われたってこれだけは譲れない。
「全部自分のためだろ?」
突然そう言い放った空。
私は驚きすぎて目と口が開いた状態。
「蒼哉の幸せとか言いながら、結局は来夢が蒼哉を忘れてしまうのが怖いんだろ?」
…言葉が出なかった。
だって、その通りなんだもの。
「私…誰のことも忘れたくないの……っ」
誰の前でも涙を流したくなかった私が、今こうして空の前で涙を流すなんて……
「大丈夫。蒼哉、お前が思うよりずっと、強いんだ。」
私の背中をさすりながら、そう言った空の手は暖かかった。
「……っん…っ…ありが、とっ、か、けるっ……」
「ははっ、前は絶対泣かなかったのに、泣けるようになったんだな」
涙で視界がぼやける中、空の顔を見る
空は、少し切なそうな顔をして笑った。