聖なる夜に来る待ち人は
食べ終わって片付けてもまだ少し時間がある。


少しだけ席を外して歯磨きして戻ると男子二人は色々話してたらしく少し笑ってて、はるちゃんはその横で文庫を読んでいた。


「なんか、寛いでない?」


思わずそう声をかけると


「だって、他の面倒な視線や声掛けが無いからすっごく過ごしやすくてな。」

そう言って男子二人は顔を合わせてニカッと笑ってる。

お互い爽やかイケメンだとかインテリイケメンだとか騒がれている二人だ。
人気者にはそれなりに苦労もあるようだ。


「ふーん、そうなの。」


そう言って私はお弁当バックに入れてたペットボトルのお茶を取り出して飲む。


「八雲、放課後どこに行きたい?今日はデートだぞ!」


ちょっと油断してたところに放り込まれた言葉に思わずお茶を噴き出すのを阻止してむせてしまった。

「けっほ、ゴホゴホ。」

トントン胸元叩いて何とかやり過ごして、もう一度お茶を飲んで落ち着かせた。


「えっと、一緒に帰るとは言ったけど出掛けるとは言ってないよね?」

そう言うと、物凄く目を見開いて焦った様子で


「いやいや、放課後一緒に帰るんだから折角だしどこか寄って帰ろう!」

そう言われたので思わずふっーっと息を吐き出した。


「私、一人暮らしみたいなものだから帰ってからもやる事色々あるのよ。正直放課後寄り道するのはスーパーだけよ?こんな面白みのない私はサクッと諦めて別の方と出掛けたら良いよ。」


そうニコッと言い返すと


「うーん、八雲ちゃんなかなかに鋭く返すねぇ。今祐悟の胸は抉れた、抉れたよ!」
「そうねぇ、これ位で諦めるなら余計な事すんなってレベルよ?」


そこのカップルちょっと黙ろうか?そんな視線を投げると大人しくなりました。

全く二人は好き勝手言うんだから。


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