聖なる夜に来る待ち人は
しかし、そこは寺川くん。

このやり取りを逃さず聞いていて


「なぁ、八雲。駅前のドーナツ屋さんにクリスマスまでの限定雪だるま型カップケーキが出てるぞ?食べて帰らないか?」


そう言ってきたのだ。

そこのドーナツは好きだし、たまにはるちゃんとも寄って帰ったりする。

そしてクリスマスまでの限定カップケーキは実は今年はまだ食べていないのだ。


「あ、芽衣ちゃんすっごい葛藤してる。」
ニヤニヤ見守るはるちゃんに

「あー、情報仕入れてたな。こりゃ祐悟のが一枚上手かな?」
そうこの場を見ていう奏くん。


お願い二人で分析実況しないで。



「なぁ、一緒に行こうよ。俺も甘いもの好きだし。」

そう、あんなにふわふわ可愛い女子のはるちゃんは実は甘い物が苦手でドーナツ屋さんは匂いだけでも大変だと言うのでテイクアウトに付き合ってもらうだけで店内で食べたことがなかった。
カフェオレがおかわり自由とか長居できそうで良いのに。
はるちゃんが苦手なら仕方ないと諦めていたイートインができるという。

もはやグラグラと私の気持ちは揺れていた。


甘い物に釣られてであるが。


「何種類かあるだろ?違うの頼んでひと口やるよ?」


その、一言に私の天秤は傾いた。


「行く、食べる!!!」


こうして、放課後スイーツデートが決定した。


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