聖なる夜に来る待ち人は
その後はスーパーに寄った。
今日明日あたりの食材を買いにである。

もちろんそれにも寺川くんは着いてきた。


しかも必要なもの取りなよとカートを押しているのである。

なんかすっごくむずかゆい感じ。
恥ずかしくもあり、なんと言うか照れる。

傍から見たらどんな感じなんだろう。
制服着たまま二人でスーパーで買い物なんて。


そう思いつつも必要な買い物なのでどんどん進めることにした。

「ほうれん草、もやし、白菜、ネギ、ブロッコリーはこの価格なら冷凍コーナーで。」

ブツブツ言いながらカゴに入れていくと

「これで何作るんだ?」

疑問はごもっともなので

「これで作るのはネギもやし省いたらシチューだよ。玉ねぎ、人参、ジャガイモは家にあるの。あと卵とベーコンと、コーンも冷凍で。お肉はどうしようかな。鶏肉かな。」

そう言いながらまた歩いて次々に入れていく。


「一人暮らしだと大変なんだな。買い物から料理に片付けまで全部自分だものな。」

「まぁ、そうだけど。それも一人分だから大変ってほどではないよ。」

そう返すと


「それでも、毎朝ご飯食べてお弁当も作って持って来て帰ってからも夕飯に掃除に洗濯だろ?主婦と学生してるってことじゃん?やっぱりすごいと思うよ。」


そう言われた。

誰も褒めてくれたりはしなかったからちょっとこそばゆいけどなんだか心が温かくなった。


「ありがとう。」

照れてしまって目線も合わせれなかったけれど寺川くんはそんな私を見ても笑顔とともに頭を撫でてくれた。


「寺川くん!?」

少しビックリして顔を上げると

「嫌か?」

小首傾げて聞かれる。


「嫌、では、ない・・・よ。」


何これ、私いまどうなってるの?
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