聖なる夜に来る待ち人は
その後もちょこちょこ会話しながら学校に着いて、駐輪場から下駄箱までも会話しながら歩いて行く。


外履きから上履きに履き替えて、その後も教室まで寺川くんが送ってくれて


「ん、じゃあまた終わったらな!」

そう言ってまたポンポンと頭を撫でると自分の教室に向かっていく寺川くんに

「うん、待ってるね。」

そう返事をしたら


「おう、迎えに行くから待ってて!」

ちょっと赤くなりながら寺川くんがそう言ってくれて軽く手を振り返して私も教室に入ると


「ふーん、昨日のドーナツ屋さんですっかり慣れたみたいだねぇ。朝から甘いやり取りでしたこと。」

ニヤニヤしたはるちゃんにそう突っ込まれてやり取りを振り返り赤面したのは言うまでもない。


ぜんぜん、周りを気にしてなかったがめっちゃ見られてるよね。
うわぁ、恥ずかしすぎると顔を手で覆うもののきっと耳まで真っ赤なので大して意味は無い気がする。



「うんうん、今日も楽しそうだし良かったよ。」


そう言ってはるちゃんも頭ポンポンしてくれた。


そのポンポンで理解した。

寺川くんが髪型を気にしてくれていたこと。
はるちゃんとは違う大きな手のポンポンがとても心地よかったこと。


彼と居ると心が穏やかなのに弾む。
この温かな感覚に。

どんな名前が付いているのか。


分かってきているからなのか、放課後が待ち遠しかった。

この時期にこんな気分になるのは久しぶりで、浮き足立った気持のまま今日は授業を受けることになった。
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