聖なる夜に来る待ち人は
終始フワフワ気分のまま、最後の4時間目を迎えようという時。

突然教室に乱入してきた集団が居た。


どうやら、寺川くんのファンの子達でそのグループを仕切ってる同じ学年の派手な集団だ。


「八雲さん、あなた昨日からいったい何なの?!なんであなたみたいな地味な子が寺川くんの隣に居るのよ!迷惑なの、それ位考えれば分かるでしょ!?とっとと離れなさいよ!」


そうリーダー格の子が言うと周りの子達もそうだそうだ!と囃し立てる。


面倒なのが出てきたな。
大方二人乗りでの登校に教室までの送迎に放課後の約束のやり取りまでが流れ着いて、ご立腹なのだろう。


しかし、私から寺川くんにアプローチしてればこの言いがかりも分かる気がするが。
気がするだけで、不快だし、私ならやらないけれども。


そんな感じで考えていたものだから何も言葉を返してなかったら


「八雲さん!聞いてるの?!いい気になって返事もしないわけ?!」

相手の怒りに拍車をかけてしまったらしく手を振り挙げられた。


不味いと思ったが避けるには遅い。
思わず腕を出しつつも目を瞑るも、予想した衝撃は来ない。
おそるおそる、目を開けるとそこには今朝見た大きな背中がある。


「あのさ、昨日から言ってるよな。俺がずっと片想いしててやっとアプローチ始めたんだよ。邪魔するなって言ったよな?しかも何でアプローチしてる俺じゃなくて、されてる八雲に文句言ってんの?」

背中からでもかなりの怒りを含んでるのを感じる寺川くんが居た。
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