配信教室
真央はなんてことない話のようにそう言った。


ここにいるのは全員《マッドマン・ムービー》を知っているから、隠す必要もないと思ったのだろう。


「リストカット動画」


俺がそう言うと、真央は頷いた。


「そうだね。これでも回数は随分減ったんだよ」


そう言って自分から手首の傷を見せて来た。


やっぱり普段はファンデーションかなにかで隠しているようで、その傷はウッスラと透けて見えているだけだった。


「自分の自傷癖のことなんて誰にも相談できないと思ってた。でも、それを望んでくれる人がいて、お金になるって、エイトのおかげで知る事ができたの。


中にはあたしと同じように自障壁がある人からの反応もあって、あぁ、1人じゃないんだって思って。そしたらなんだか落ち着く事が出来た。


《マッドマン・ムービー》は世間的には否定されるものだけど、あたしにとっては救いの場所だった」
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