配信教室
「動画って、なんで動画なんて撮ってるの? スミレはどうなっちゃったの?」


《マッドマン・ムービー》の存在を知らず、スミレと仲のいい沙希は混乱している。


俺は沙希の体をきつく抱きしめた。


「大丈夫だよ沙希。すぐに先生が来るから」


俺がそう言った時だった、準也が獣のような雄たけびを上げた。


「俺はずっとこんなクソみたいな学校が大嫌いだった! 2年生だからって偉そうな面をしやがるバカな先輩も、それを動画配信する奴も大嫌いだった!」


準也の悲鳴に近い声に、立花が動揺を見せた。


あの動画を準也も見てしまったのだ。


自分の苦しみで金儲けをしようとしている人間がいた事に、どれだけ傷ついただろうか。


「俺はずっと我慢してきたんだ! いつまで我慢すればいい? どこまで我慢すればいい? もう沢山だ!! 我慢は終わりだ!! そうだろ? 誰だって限界があるんだ!」


叫びながら入口の方へと向かう準也。


そこにはまだ複数の生徒たちがいた。
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