配信教室
「友達が死んじゃうなんて悲しい……」


とても小さな声だったけれど、確かに真央の声が聞こえて来た。


俺はゴクリと生唾を飲みこんで様子を見守る。


真央はエイトと一緒にいるはずだ。


今電話をかけて止めさせることができるかもしれない。


そんな考えが過るけれど、俺の目は動画に釘付けになっていた。


今この瞬間に真央が手首を切ろうとしている。


その事実に背筋がゾクゾクと震えた。


真央の手首に切られた筋がついて行く。


ついさきまでくっついていた皮膚と強引に引き離されたそこは、ぱっくりと大きな口を開けて行く。


白いポコポコとした脂肪が現れ、血が滲んでくる。


それらの流れるような工程を息を止めて見守った。


スマホを握りしめる手に力が入る。
< 66 / 225 >

この作品をシェア

pagetop