加奈の場合
理雄さんの弟……
永瀬 皐月、私のクラスに永瀬なんていない。
てことは……
「 あ、英美! ねぇこのクラスに永瀬 皐月っている?」
「 加奈じゃん、何、永瀬君ならいるけど呼ぼうか? あ、でも職員室行ったかな 」
「 職員室…… わかった、ありがと 」
ほんとにいた、理雄さんの弟!
捕まえてやるー……
と、意気込んで職員室へダッシュし、出てきた皐月に気づかずすれ違った。
「 あ! 高村先生、永瀬君って来ませんでした?」
「 ああ、永瀬なら ほら、そこ 」
え…
先生の見る方を見れば先程 職員室から出てきた生徒で、すれ違った人。
ん?
あれが理雄さんの弟…?
んん?
私は声をかけてみた。
当然振り向く皐月に理雄に似ていると少し照れるが、ふと私は首を傾げた。
どこかで会った事があるような… そんな気がしたから。
「 何?」
「 あ、あの! あの…… 君が永瀬皐月、君?」
「 ……だから?」
だから? だから、そうなのかって聞いてるんだけど……
「 お兄様は理雄さん? 合ってる?」
「 様…… 理雄は兄貴だけど、何っ 」
な、なんか怒ってない?
「 あの… 私、理雄さんの友達の妹で、椎葉加奈って言うの。 中学も同じだったの知らなくて… 良かったら友達にならない?」
よし!
友達となれば理雄さんにもっと近づける。
聖ちゃんにくっついてても理雄さんにあんまり会えないし、ちょっと違うしね……
聖ちゃんにバレたら面倒だし。
ここは賢く、弟と友達になるべし!
「 ……嫌だって言ったら?」
「 え、なんで?」
困るー! 普通 嫌とかないでしょ!
「 兄貴が目当てなら… 嫌だね 」
は… はは……
バレてるけど、引かないもん!