加奈の場合

私の晴れやかな日。

朝から天気までが私の味方。


この日は理雄に会うための気合い込めて可愛くシンプルコーデ。

髪は結ばない、頭撫でてもらうのを期待してたりするから。


皐月と昼前には待合せしてランチ。




「 制服と私服、全然違うな 」

「 そう? 私、可愛い?」



女子力上がってるからね、今の私は。




「 ……可愛いんじゃない 」

「 そ、可愛いの 」




皐月の目が伏し目がちで言ってくれた 可愛いの言葉……

私は浮かれすぎてた。




ランチの後、デザートはなしで理雄の働くショップに向かう。

理雄が休憩に入る時間と合わせて来るように皐月が言われていたから。



「 理雄さん! お疲れ様~ 」



理雄さんだ、理雄さんだ。

嬉しいー!



「 加奈ちゃん 」



あー、カッコいい……



「 これ皐月に、大事に使えよ 」



理雄が皐月に渡したのは帽子。

見て喜んでる皐月を見ながら、なぜ帽子なのか聞いてみると、皐月が小学生の時、理雄が帽子を被ると欲しがったためあげたと……

それ以来、誕生日には帽子をプレゼントしていると。




「 皐月、誕生日だったんだ、言ってよね~ 」



優しいな、理雄さん。

聖ちゃんも私には甘いけど。

二人似てるかも、お兄ちゃんって感じ。



「 それにしても皐月が加奈ちゃんと付き合ってたとはね 」



理雄さんのこの誤解に、私は固まった。

さらには、私をどん底に落とす人が現れた。



「 理雄 」



呼び捨てで呼んだ私ではない声に振り返れば、いたの……



「 鈴菜、弟の皐月と その彼女の加奈ちゃんだよ 」




理雄さん何言ってんの……

私が皐月の彼女?

鈴菜って、その人は…… 理雄さんの……



やだ。


うそ。


嫌だ。




「 皐月君、誕生日って聞いたから私からもプレゼントあるの、気に入ってもらえたらいいけど 」




皐月にプレゼント?

理雄さんの彼女だから?

弟の皐月に取り入ってるの?


優しいね、鈴菜さんて。


私は皐月の誕生日すら知らなかった……


あなたって言う彼女がいることすら知らなかったよ……



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