鬼の生き様
第二章
黒船来航
徳川幕府は二五〇年間、オランダ国以外とは鎖国政策を取り続け、国内的には統一されていたが、海外では、列強の技術開発は進んでいた。
隣国の中国大陸は、イギリス国とのアヘン戦争の敗北で、領土の一部を植民地化された。
日本沿岸にも、開国を求め外国船が頻繁に近づいてきていた。
弘化三年(1846年)には、アメリカ特使のビッドルが“通商要求”で、浦賀に来たのを皮切りに、嘉永二年、イギリス船が江戸湾を測量し、嘉永六年には、ロシア使節、幕府の判断で長崎に回されたのだ。
そしてこの年、嘉永六年(1853年)六月三日。
アメリカのペリー提督が率いる黒船艦隊が江戸湾口の相州浦賀に姿を現した。
「大変だ!戦が始まる!!」
門人達が慌てふためき頓狂の声をあげ、ドタバタと入ってきた。
「若先生、大変ですぞ!」
只事ではない様子に道場は静まり返っていた。
「一体何事だ」
「黒船が来た!」
やれやれまたか、という表情を歳三はもちろん、勝太や源三郎、周助や他の門人達は浮かべた。