君への心
「あっ、もうこんな時間。寮、戻んなきゃ」
気づいたら時計の針は10時30分を指していた。
「こんな時間に女子一人で歩いてたら危ない。俺も行く」
この学校は女子野球のチームもあって、男子野球、女子野球の寮で分かれている。といっても食事は一緒に食べてる。私は男子野球だけど、女子だから女子寮に住んでいる。まあ、当然か。けど、他の女子寮に住んでいる人と私とはひとつ違う点がある。それは男子寮に出入り自由だということ。監督から呼び出しがあれば男子寮に出入りすることが出来るし、選手のケアとかあったら部屋にも入ることができる。まあ、なんでもオッケーということだ。その特権をフル活用し、週6日、野球の試合がある時に潤と一緒に男子寮のテレビでやってる試合を見るのだ。
「ありがとう」
テレビを消し、私達は男子寮を出る。
「プロ初登板プロ初先発プロ初勝利か」
「今日は珍しくノーヒットだったけど、すぐプロ初安打とかプロ初ホームランとかするんだろうな」
「海人はホームランとか、ヒットとかすぐぶっ放すからね」
「ぶっ放すって言いかた悪いって」
「そうかなぁ。けど、そうでしょ?」
「まあ、否定はしない」
海人は二刀流で、ライトも守れる。まあ、本職は投手なんだけど、ライトを守ることも多い。海人のピッチング能力は半端ないが、バッティング技術も半端なくて、本塁打数は高校通算101本。ヒットは高校通算730本打っている。
「けど、結局、ライトではレギュラー取れなかったんだよな。守備酷すぎて」
そう。バッティング技術は凄いが、その分、守備力が酷過ぎた。後逸どころか、外野フライも時々落としたりする。もちろんとったらファインプレーというボールではなく、普通のフライだ。
「だからピッチャーで頑張っていたんだよな」
「けど、びっくりしただろうね。プロの人は。バッティング技術が半端ないのは知っていただろうけど、ライトも守れたとか」
「ああ。ライト守ってた時ってあったっけ?」
「ライトスタメンはなかったんじゃないかなぁ。ピッチャーからライトに守備位置変更はあっても…」
「だな」
そんなことを言っていたら女子寮に着いた。
「また明日な」
「うん。じゃあね」
私は寮の中に入った。
「海人様、なんてかっこいいの?」
「ねえ。プロ初登板プロ初先発で、8回被安打3、0封なんて普通できないよ」
「神がかってる」
寮に帰ると同寮のメンバーがキャーキャー言っていた。
「彼女がいても関係ない私達の王子様よー」
「きゃー」
盛り上がり過ぎで、私が帰ってきたの分かってない。
「あっ、奏おかえりー」
「あんたたち盛り上がり過ぎ」
「ごめん。でも、海人様カッコよかったでしょ」
「まあ、否定はしない」
「はぁ。海人様のお側に居られるのはファン感謝デーの時くらいだからな。まだ後、1年待たないといけない」
「長いね」
そっか。私は電話すれば潤と奈々香連れて遊びに行けるけど、みんなはそんなことできないもんね。今度、サイン会でも握手会でも開いてやるか。
「さて、私は歯磨いて寝るね」
「分かったー。おやすみー」
「おやすみー」
そして私は眠った。
気づいたら時計の針は10時30分を指していた。
「こんな時間に女子一人で歩いてたら危ない。俺も行く」
この学校は女子野球のチームもあって、男子野球、女子野球の寮で分かれている。といっても食事は一緒に食べてる。私は男子野球だけど、女子だから女子寮に住んでいる。まあ、当然か。けど、他の女子寮に住んでいる人と私とはひとつ違う点がある。それは男子寮に出入り自由だということ。監督から呼び出しがあれば男子寮に出入りすることが出来るし、選手のケアとかあったら部屋にも入ることができる。まあ、なんでもオッケーということだ。その特権をフル活用し、週6日、野球の試合がある時に潤と一緒に男子寮のテレビでやってる試合を見るのだ。
「ありがとう」
テレビを消し、私達は男子寮を出る。
「プロ初登板プロ初先発プロ初勝利か」
「今日は珍しくノーヒットだったけど、すぐプロ初安打とかプロ初ホームランとかするんだろうな」
「海人はホームランとか、ヒットとかすぐぶっ放すからね」
「ぶっ放すって言いかた悪いって」
「そうかなぁ。けど、そうでしょ?」
「まあ、否定はしない」
海人は二刀流で、ライトも守れる。まあ、本職は投手なんだけど、ライトを守ることも多い。海人のピッチング能力は半端ないが、バッティング技術も半端なくて、本塁打数は高校通算101本。ヒットは高校通算730本打っている。
「けど、結局、ライトではレギュラー取れなかったんだよな。守備酷すぎて」
そう。バッティング技術は凄いが、その分、守備力が酷過ぎた。後逸どころか、外野フライも時々落としたりする。もちろんとったらファインプレーというボールではなく、普通のフライだ。
「だからピッチャーで頑張っていたんだよな」
「けど、びっくりしただろうね。プロの人は。バッティング技術が半端ないのは知っていただろうけど、ライトも守れたとか」
「ああ。ライト守ってた時ってあったっけ?」
「ライトスタメンはなかったんじゃないかなぁ。ピッチャーからライトに守備位置変更はあっても…」
「だな」
そんなことを言っていたら女子寮に着いた。
「また明日な」
「うん。じゃあね」
私は寮の中に入った。
「海人様、なんてかっこいいの?」
「ねえ。プロ初登板プロ初先発で、8回被安打3、0封なんて普通できないよ」
「神がかってる」
寮に帰ると同寮のメンバーがキャーキャー言っていた。
「彼女がいても関係ない私達の王子様よー」
「きゃー」
盛り上がり過ぎで、私が帰ってきたの分かってない。
「あっ、奏おかえりー」
「あんたたち盛り上がり過ぎ」
「ごめん。でも、海人様カッコよかったでしょ」
「まあ、否定はしない」
「はぁ。海人様のお側に居られるのはファン感謝デーの時くらいだからな。まだ後、1年待たないといけない」
「長いね」
そっか。私は電話すれば潤と奈々香連れて遊びに行けるけど、みんなはそんなことできないもんね。今度、サイン会でも握手会でも開いてやるか。
「さて、私は歯磨いて寝るね」
「分かったー。おやすみー」
「おやすみー」
そして私は眠った。