残り100日の私と大好きな君
「咲楽ちゃーん、奏汰くーん、検温の時間でーす。起きてー」

そう言って、病室に看護師さんが入ってくる。

奏汰くんは起きてたから先に検温されて、でも次は私。

布団にもぐってるけど、起こされちゃう…

「咲楽ちゃん、起きてー」

そう言って、布団が剥がされる。

「ありゃ、副作用で抜けてきちゃったか。」

そう言いながら、体温計を渡してくる。

私はしぶしぶ体温を計る。

「でも、治ったらまた生えてくるからね!でも、気になるだろうから、帽子かぶるとかウィッグとかお母さんに買ってもらうといいよ。」

「………………」

その言葉に私は黙って頷いた。

カーテンは閉まってるから見えないだろうけど、奏汰くんに聞かれた。

この後、きっと私を元気づけるためにこっち来てくれるだろうけど、見られたらきっと、口では言わないけど引かれると思う。

副作用のせいとはいえ、気持ち悪いもん。

看護師さんが出ていってからすぐ、私は布団をまた頭の上まで被った。

「咲楽ちゃん……、それで、泣いてたの?」

「………………」

「僕は気にしないから、顔出してくれない?」

「やだ……」

「やっぱり恥ずかしい?」

「……うん」

「そっか。無理しろとは言わないけど、苦しかったら出てきてね。」

そう言って奏汰くんは布団の上から優しく背中をさすってくれた。
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