残り100日の私と大好きな君
それから少しして、奏汰くんの言ったことが的中するように、副作用の吐き気と目眩が襲ってきた。

気持ち悪くて、冷や汗をかく。

けど、奏汰くんには見せたくない…

……でも、苦しい…

すると

「咲楽ちゃん、大丈夫?少し、震えてるよ……」

そう言って奏汰くんが背中をさすってくれる。

「副作用来ちゃった?気持ち悪い?」

コクコクと私が頷くと

「無理に……とは言わないけど、苦しいなら吐いちゃった方が楽じゃないかな?」

と提案してくれる。

けど吐く=顔を出すってことだから、出来ればそれはしたくない。

でも、苦しい……

2つの感情がぶつかり合って葛藤を起こす。

その時

「…………咲楽ちゃん、楽になって、いいんだよ?無理して我慢しないで…。恥ずかしいのはわかるけど、僕はなんも気にしないよ。だって、咲楽ちゃんは咲楽ちゃんだもん。見た目が少し変わったって、本質は変わらない。……でしょ?」

そのひどく暖かい言葉が、心を覆っていた厚い氷を溶かしていく。

気が付けば、さっきとは比にならないような程の涙を流して、私は奏汰くんに抱きついていた。

「やっと、顔見せてくれた。やっぱり、いつもの咲楽ちゃんじゃん。大丈夫。恥ずかしがらなくていいよ。苦しいなら、いっぱい泣いていいから。」

今までに少しずつ積もっていたストレスが、一気に爆発したような気がした。

吐き気よりも涙の方に気が取られる。

「…嫌だよね、髪の毛が抜けちゃうなんて。男の僕でも嫌なのに、女の子なら尚更だよね……。それに、他の副作用も出て辛いのに…………。咲楽ちゃんは、本当に偉いね。よく、頑張ってるね。」

今まで当たり前に我慢していたことを全て肯定されたような気がして、私はさらに涙を流した。

不思議と、いつも大泣きした時に出る過呼吸は出てこなかった。

それから数十分間私は奏汰くんに抱きついて泣き続けた。
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