残り100日の私と大好きな君
⑩
「……くらちゃん…咲楽ちゃん」
ゆっくりと重い瞼をあげる
頭がボーッとしてよく分からない…
でも、奏汰くんの声が近くで聞こえる。
だけど………………あれ、目が見えない…
「咲楽ちゃん、良かった…お疲れ様!!よく頑張ったね!!」
私の異変に気がついていないようで、奏汰くんは約束通りギュッと布団の上から抱きしめてくれる。
けど、その姿が見えない…
瞼は開いているはずなのに、まばたきも出来るのに…
「……………み……えない…」
途切れ途切れに私はそう伝える。
「え?」
「目、見えない……奏汰くん…………ど…こ………」
「…僕のことも見えない?」
コクン
「先生っ、先生呼んで来る」
「まって…………!!」
いかないで
怖い、ひとりにしないで
そう伝えようと思ったけど、走り出した奏汰くんの足音はどんどん遠ざかっていった。