残り100日の私と大好きな君
困り果てて、今にも涙が零れそうな時

「咲楽ちゃん、大丈夫?顔、真っ青だよ」

奏汰くんが気付いてくれたみたいで、私の背中をさすってくれる。

「…………吐き……たい…けど、吐く時用の桶がない……」

なんとか伝えられたけど、喋ったせいで余計に胃の中のものが、喉までせり上がってきて、私は慌てて口に手を当てる。

「ちょっと待ってて!!今、取ってきてあげるから!!」

そう言って、直ぐに奏汰くんは桶を持ってきてくれて、私に手渡してくれる。

「ここに吐きな?ごめんね、気付くの遅くなっちゃった、辛かったよね…」

そう言いながら、背中をさすってくれるその優しさに、今度は辛さの中に嬉し涙も混じって溢れてくる。

1度吐き出すと止まらなくて、何度も何度も吐き出してしまう。

吐くものがなくなっても吐き気は止まらない。

ただただ気持ち悪さが増えていく。

「咲楽ちゃん、一旦お水とか飲める?そんなに吐いてたら脱水になっちゃうよ」

そう言ってくれたおかげで、私は一旦吐くのを辞めるきっかけができた。

奏汰くんに手渡されたお水を少しだけ飲んで、ベッドに横になる。

吐き気は収まってないけど、きっといつまで経っても収まるものじゃないんだろうな。

それなら、少し、眠りたい。

奏汰くんは、それを察してくれたのか、私の肩まで布団をかけて、私の手を握りながら、ぽんぽんと一定のリズムで優しくお腹をさすってくれる。

奏汰くんの手から伝わってくる温かさと、その一定のリズムが心地よくて、私はそこから数分もしないうちに眠りにつくことが出来た。
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