残り100日の私と大好きな君
そんなある日
唐突に、思ってもいなかった出来事が起きた。
いつも通り、咲楽ちゃんの手を握り、話をする。
今日の咲楽ちゃんは、薬のせいで、少し朦朧としていた。
「早く、良くなりたいね……一緒に、元気になったら…」
と話していた時
「奏汰くんっ!!!」
びっくりするくらいの勢いで看護師さんが入ってくる。
ベッドサイドにいた俺も、ベッドで寝ていた咲楽ちゃんも驚いて、何事か と看護師さんを見た。
「奏汰くん、今電話が来て…ドナーになってくれる方が、亡くなったって……!!」
「え……」
一瞬、何を言われているのかわからなく、脳内が混乱する。
ドナーが死んだ……ドナーは僕に臓器をくれる人…その人が死んだってことは…………
「この後、移植手術になるから、手術の準備と説明があるから、少しここで待ってもらうんだけど、でもすぐ準備が整い次第手術になるからね!!」
満面の笑みで伝えられた。
けど、隣にいる咲楽ちゃんにとっては、それはとても残酷な宣告である。
俺は、胸が締め付けられるような気持ちにかられ、咲楽ちゃんの方を向いた。
咲楽ちゃんは、ポカンとした顔をしている。
「………………奏汰……くん、助かるの?」
たどたどしくそう問いかける。
「そうだよ!奏汰くん、今まで頑張ってきたから、やっと治るんだよ!だから、咲楽ちゃんももっともーーっと頑張ろうね!!」
なんも、そんな言い方しなくていいのに……
その言い方じゃ、まるで咲楽ちゃんが頑張ってないみたいじゃないか…
僕なんかより、数十倍以上頑張っているのは咲楽ちゃんなのに…
でも、咲楽ちゃんは看護師さんからそう聞かされると、ゆっくりと笑顔になった。
「た……すかる……………だね、よ…………か……た」
その言葉に再度、胸が痛くなった。