残り100日の私と大好きな君
そのあとは、もう大忙し

手術のために服を着替えたり、血液検査をされたり、点滴を打たれたり…

それでも、手術前、少しだけ時間が余った。

僕は迷いなく、咲楽ちゃんの隣に行った。

「……咲楽ちゃん」

特別言いたいことがあるわけでもないのに、名前を呼んでみる。

「どうしたの?」

そう言って、咲楽ちゃんは笑うけど、その顔は青白く、とてもやつれている。

「………………待ってて…絶対、待っててね」

僕は咲楽ちゃんの手を握ってそう言った。

僕がこの病室から出ていった瞬間、消えてしまいそうなほど儚く見えたから……

「……うん…ちゃんと、待ってるよ…………私なら…大丈夫………………奏汰くん、がんばって…ね……」

そう話すけど、最後に行くにつれ咲楽ちゃんは、とても苦しそうになっていく。

「咲楽ちゃん、大丈夫?」

そう声をかけると、少し辛そうに眉を寄せて小さく頷く。

だけど、次の瞬間には、咲楽ちゃんは大きな咳をしていた。

「ゲホッ!!…ゴホッケホッ……はぁ、はぁ…………ゲホッゲホッ!!!」

「大丈夫っ!?先生、呼ぼうか?」

そう言うけど、咲楽ちゃんは返事が出来ないほど咳を続けた。

すると、突然口を覆っていた透明の酸素マスクに赤い液体が飛び散る。

血…………?

僕が驚くまもなく、咲楽ちゃんが僕の方にフラっと倒れてくる。

「咲楽ちゃん!!」
< 79 / 107 >

この作品をシェア

pagetop