残り100日の私と大好きな君
「とりあえず、先生呼ぶね。…奏汰が無事で、良かった……」
コクン
声を出すのが辛くて、僕は小さく頷いた。
咲楽ちゃんは、今の僕以上に辛い思いをしてるんだよね…なのに、いっぱい話しかけてくれる。
咲楽ちゃん……
頭の中は咲楽ちゃんのことばっかり。
僕の手術が終わったとかは、もはや、どうでもいい。
咲楽ちゃんが無事なら…いいんだけど……
少しして、主治医の先生と看護師さんが病室へ来た。
「おはよう、奏汰くん。手術お疲れ様。無事、終わったよ。体が痛いとか、どこか不調はない?」
「……大丈夫…です」
先生と看護師さん、そしてお母さんはニコニコして嬉しそうだ。
「…それ……より、…………咲楽ちゃん…どこ……ですか」
「咲楽ちゃん?あぁ、隣のベッドの咲楽ちゃんか。ごめんね、担当医が違うからわからないかな。」
そう言って、先生は看護師さんに目配せをする。
すると、看護師さんはおもむろに口を開いた。
「……咲楽ちゃん、あの後から少し容態が良くないみたいで、今はICU_集中治療室に入っています。」
"あの後"
もしかしなくても、僕が手術に入る直前のことだろう。
…………けど、僕は看護師さんのその言葉に僅かに安堵した。
だって…ちゃんと生きてたから……
場所は違うけど、ちゃんと待っててくれた。
「先生、僕、いつになったら歩いてもいいですか?」
「んー、そうだなあ、とりあえず今日一日はまだ安静で明日からはリハビリも兼ねて歩いてもらうかな。」
「じゃあ、咲楽ちゃんの所に…!!」
僅かな希望を持つ。だが、
「それは出来ないかな。」
「え……」
「集中治療室は、基本的には患者さんの家族しか立ち入れないんだよ。ごめんね」
「あ、そう……ですか…………」
じゃあ、咲楽ちゃんに会えない?
咲楽ちゃんが元気になって、戻ってくるまで?
でも、集中治療室の中で万が一のことがあったら?
もう、会えない?
「その必要はないよ。」
新たな声に驚いて俯いていた顔をあげる。
そこには、咲楽ちゃんの主治医の先生。
「君のICUへの入室は私が許可する。」
「先生っ、でも」
「あの子、咲楽ちゃんにとっては、きっと君は家族以上に大切な人だと思うから。……それに、咲楽ちゃん、朦朧としてる時も、意識がない時も、寝てる時も、ずっと君の名前を呼んでる。…彼女にとって、きっと君の存在は大きくて、どんな薬よりも元気になる存在だと思うから。」
咲楽ちゃんの先生がそう言うと、僕の主治医の先生は納得したように頷く。
「じゃあ、明日からのリハビリは毎日集中治療室まで通うってことで。…でも、言っておくけど、手術後歩くのはすっごい辛いと思うよ?傷口も、今は麻酔が効いてるからまだ痛くないかもしれないけど、だんだん痛くなってくるはずだから。」
「それでも、行きたいです。」
「うん。じゃあ、明日はこの看護師さんに連れ添ってもらって行ってね。まだ1人で歩かせるわけには行かないから。」
「はい、わかりました。」
咲楽ちゃんに会える
その気持ちがあれば、傷口の痛みなんてすぐに忘れそう。
そう思った。
コクン
声を出すのが辛くて、僕は小さく頷いた。
咲楽ちゃんは、今の僕以上に辛い思いをしてるんだよね…なのに、いっぱい話しかけてくれる。
咲楽ちゃん……
頭の中は咲楽ちゃんのことばっかり。
僕の手術が終わったとかは、もはや、どうでもいい。
咲楽ちゃんが無事なら…いいんだけど……
少しして、主治医の先生と看護師さんが病室へ来た。
「おはよう、奏汰くん。手術お疲れ様。無事、終わったよ。体が痛いとか、どこか不調はない?」
「……大丈夫…です」
先生と看護師さん、そしてお母さんはニコニコして嬉しそうだ。
「…それ……より、…………咲楽ちゃん…どこ……ですか」
「咲楽ちゃん?あぁ、隣のベッドの咲楽ちゃんか。ごめんね、担当医が違うからわからないかな。」
そう言って、先生は看護師さんに目配せをする。
すると、看護師さんはおもむろに口を開いた。
「……咲楽ちゃん、あの後から少し容態が良くないみたいで、今はICU_集中治療室に入っています。」
"あの後"
もしかしなくても、僕が手術に入る直前のことだろう。
…………けど、僕は看護師さんのその言葉に僅かに安堵した。
だって…ちゃんと生きてたから……
場所は違うけど、ちゃんと待っててくれた。
「先生、僕、いつになったら歩いてもいいですか?」
「んー、そうだなあ、とりあえず今日一日はまだ安静で明日からはリハビリも兼ねて歩いてもらうかな。」
「じゃあ、咲楽ちゃんの所に…!!」
僅かな希望を持つ。だが、
「それは出来ないかな。」
「え……」
「集中治療室は、基本的には患者さんの家族しか立ち入れないんだよ。ごめんね」
「あ、そう……ですか…………」
じゃあ、咲楽ちゃんに会えない?
咲楽ちゃんが元気になって、戻ってくるまで?
でも、集中治療室の中で万が一のことがあったら?
もう、会えない?
「その必要はないよ。」
新たな声に驚いて俯いていた顔をあげる。
そこには、咲楽ちゃんの主治医の先生。
「君のICUへの入室は私が許可する。」
「先生っ、でも」
「あの子、咲楽ちゃんにとっては、きっと君は家族以上に大切な人だと思うから。……それに、咲楽ちゃん、朦朧としてる時も、意識がない時も、寝てる時も、ずっと君の名前を呼んでる。…彼女にとって、きっと君の存在は大きくて、どんな薬よりも元気になる存在だと思うから。」
咲楽ちゃんの先生がそう言うと、僕の主治医の先生は納得したように頷く。
「じゃあ、明日からのリハビリは毎日集中治療室まで通うってことで。…でも、言っておくけど、手術後歩くのはすっごい辛いと思うよ?傷口も、今は麻酔が効いてるからまだ痛くないかもしれないけど、だんだん痛くなってくるはずだから。」
「それでも、行きたいです。」
「うん。じゃあ、明日はこの看護師さんに連れ添ってもらって行ってね。まだ1人で歩かせるわけには行かないから。」
「はい、わかりました。」
咲楽ちゃんに会える
その気持ちがあれば、傷口の痛みなんてすぐに忘れそう。
そう思った。