俺らの姫になりませんか。
教室に入ると、大騒ぎどころの騒ぎじゃないくらいの騒がしさで、耳がやられるかと思った。


「柊マジ調子乗ってね?」


「それな〜。何、蘭菊…だっけ?どうでもいいけど。総長になったくらいでキャーキャー言われてさ。」


「姫狙いだろ。でも姫ほぼ確じゃね?」


奏が居ないからって、好き放題言う男子達。


姫がほぼ確、って誰のことだろう。


なんか、心がモヤモヤする。


「春原(スノハラ)〜、柊から姫になれとか言われたか〜?」


「…別に。あいつと今関わってないし。」


「は?マジで言ってんの?」


「嘘つくとでも?」


「だよな〜。お前、こういうことに関して嘘つかないもんな〜。」


春原ってのは、私の苗字ね。


なんだろ、私が姫になるって思ってたのかな?


期待を裏切るようで悪いけど、そんな話一切されてない。


姫ってすごく大事な役割なんだ、って目を輝かせて話す奏の顔が浮かんで、なんだか辛くなった。





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