学年一の爽やか王子にひたすら可愛がられてます
「それ、すごいね」
耳にかかる柊くんの声に、トクトクと胸が鳴る。
「え、いや、そんな大したものじゃ。簡単ですし…」
「え!もしかして、緒方さん自分で弁当作ってんの?」
初めて話すのに。
本当、コミュニケーション能力高いなぁ。
私は、柊くんが私の名前を知ってくれていたことが嬉しくて仕方がないっていうのに。
「い、一応…」
「すごー!え、何時に起きて作るの?」
「えっと…5時半に」
「え、5時半?!すごいなぁ〜」
「ひ、柊くんは…」
「ん?何?」
初めて声に出して名前を呼ぶことにすごく緊張したけど、首を傾げてそういう柊くんにまたキュンとする。
「なんで…ここに?」
「あー、家庭科室ってすげークーラー効いたんだよね〜だから時々涼みに来るの」
「あ、そうなんだ…」
時々ってことは…。
私がここでご飯を食べていた間に何度か来たことあるのかな。
すごく近くに柊くんがいたかもしれないってだけでまたドキドキする。
本当、こういうの慣れてないな。