学年一の爽やか王子にひたすら可愛がられてます
「高城が悪くないならなんで泣いてるの?」
「えっ、」
柊くんに指摘されて慌てて頬を触ると、しっとりと濡れていた。
「これはっ、、えっと…」
答えに困って口をパクパクさせてしまう。
「ううん。ごめん。今のは意地悪だった。静音が高城のこと大事にしてるの分かってるのに、ひどいよね。今の質問は」
柊くんはそう言って、優しく私の頭に手を置く。
「高城がいいやつなのは俺もよく分かってるよ。だけど…今の高城はちょっと…なんていうか、不安定な時だから」
柊くんは、まるで鈴香ちゃんのことを全部わかってるみたいな言い方だ。
やっぱり、柊くんと鈴香ちゃんって…。
わかんない。
柊くんが鈴香ちゃんのことで何か知っていること、
悠ちゃんが、柊くんと鈴香ちゃんが抱き合っているのを見たと言ったこと、
鈴香ちゃんが私にキスをしたこと。
その全部が、どんなに考えてもわからない。
結局、その後も鈴香ちゃんと土田くんは戻ってこなくて、
柊くんに、家まで送ってもらった。
たくさんの疑問が残る中、
私の夏休みは幕を閉じた。