学年一の爽やか王子にひたすら可愛がられてます
エレベーターのドアが開くと、すぐ目の前には自動ドアがあり、ドアのガラス越しには芝生とすのこが見えた。
病院のここは、屋上庭園になっていたらしい。
いつも真っ白な壁ばかり見ている患者さんたちにとって、こういうものが癒しになるのかもしれない。
庭園に入ってあたりを見回すと、
点滴をしたままベンチに腰掛ける患者さんとそれを見守る看護師さんや、車椅子に座ったまま色とりどりの花を眺めている患者さんがいた。
キョロキョロ辺りを見回しながら庭園を一周しても、鈴香ちゃんのような人物を見つけられない。
いない…か。
そう思って、帰ろうと後ろを振り返った瞬間だった──────。