学年一の爽やか王子にひたすら可愛がられてます
「う、んっ、」
悠ちゃんは昔からそうだ。
本当に、昔からそう。
この間だって、今だって。
言葉よりも先に、心をゆっくりと満たしてくれる。
私が事情を話さないでもこうやって受け入れてくれるのだって…。
「ほい」
ショーケースから少し離れたところにあるイートインの席に悠ちゃんがケーキを乗っけたお皿を持ってきてくれた。
「いいの?」
「当たり前だろー。このケーキモデルは静音だしな〜」
「え、私?」
びっくりして、再びケーキに目をやると、ホイップクリームがたっぷり塗られたそれに、艶々した蜜柑が並べられていた。
「これって…」
「ショートケーキ。蜜柑の」
「へぇ…珍しいね、苺のショートケーキしか見たことなかったや」
「食べてみて」
悠ちゃんはそれだけ言って、フォークを私に差し出した。