学年一の爽やか王子にひたすら可愛がられてます


──────カランカラーン


「いらっしゃ─────」


お店の扉が開いて悠ちゃんが顔を上げた瞬間。



「静音!何ケーキ食ってんの!」


へっ?!


大きな声が、お店中に響いた。



「鈴香ちゃん…なんで…」



さっきまで、体育館の舞台でキレッキレなダンスを踊っていた彼女は、


いつもの制服(相変わらず、スカートは短くて、ルーズソックス)に着替えていた。



「なんで柊のこと置いていったの!後夜祭だって始まってんだよ?ダンスしてる時はちゃんと客席にいたのに…終わったらいなくなってんだもん」



「ごめんなさい…」



「謝んなくていいけどさ。何か理由があってそうしたのはわかるし」


『理由がわからなくなって、中身をちゃんと知ってる人は、静音がこんな顔してすごく悩む真面目な子だってこともわかってくれてると思うよ』


さっきの悠ちゃんの言葉が浮かんだ。


本当だ…。


あんな風に逃げちゃったのに、鈴香ちゃんはちゃんと理由があるってわかってくれた。


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