学年一の爽やか王子にひたすら可愛がられてます
「ねぇ、静音」
っ?!
突然、耳元で囁かれた下の名前に体がビクッと反応して、くすぐったくなった耳を慌てて手で塞ぐ。
「いい反応するね」
そう言う柊くんの方へ顔を向けると、可笑しそうにこちらを見て笑っていた。
またからかってるよ…。
「柊くんがいきなり名前で呼ぶから…」
下の名前で呼ぶのは2人きりの時だけなのに。
それにもしほかの人に聞かれてたら、柊くんとの関係を怪しまれるよ。
まぁ、私と柊くんが何かあるわけないんだけど。
「俺、緒方さんのそういう反応、結構好きなんだよね」
「……っ、」
不意打ちで名前を呼ぶところとか、『緒方さん』に戻ってることとか、ずるいよ柊くん。
「公園に着いたらさ─────」
「いた!!静音みっけた!!」
っ?!
大きなその声で、柊くんの声が遮られてしまった。
私の名前を呼びながら、人混みをかき分けて、後ろの方に立ってた私の方へ近づいて来たのは…。
言うまでもない…。